アルツハイマー病の原因
アルツハイマー病は脳組織(アミロイド斑、神経原線維)に変化が見られます。
さらに脳の中の神経細胞のつながりに異常があるのが特徴です。
脳組織に「タウ」という異常タンパク質(アミロイドβ)が蓄積する事で、海馬の細胞を壊し萎縮が始まります。
最後には脳全体の萎縮となり、このような進行は10年以上の長期間をかけて進行されると考えられています。
約10%の発生割合の「家族性アルツハイマー病」では遺伝子の異常が判明してきています。
ですが、ほとんどの患者で異常たんぱくが蓄積する原因はわかっていません。
脳の萎縮の原因は明確には分かっておらず、10年以上の期間をかけて進行します。
アルツハイマー病の診断
一般的な検査は以下のような方法があります。
1.試験式の認知機能検査
2.CTやMRIでの脳の萎縮状態を確認する検査
「認知機能検査」は、比較的短時間で記憶力や判断力の低下を判定できる検査です。
*あくまでも認知症の「可能性」有無を判定し、その後、必要ならばCTやMRIを使用した検査になります。
また、近年では「認知機能検査」は運転免許更新時には75歳以上は認知機能検査が必須となりました。
アルツハイマー症状の発見で難しい点は、患者が他人や同居していない家族の前ではきちんと受け答えをします。
普段合わない家族に電話で近況確認をしても問題を発見しにくい点になります。
アルツハイマーと認知症
アルツハイマー型認知症も認知症の大きなカテゴリー内の含まれることになります。
「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。
どの認知症にしても脳が影響を受けること機能が損なわれて行き、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症は病名ではなく、まだ病名が決まっていない“症候群”です。
つまり医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。
例として、風邪が風邪症候群となり、咳や喉の痛み、鼻水、発熱などの症状があるが、根本的原因がはっきり判断出来ない状態です。
よって治療は、症状を軽くする対症療法が中心で、その原因を取り除く根治療法を行っていくには、より詳細な検査が必要とされます。
「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」
もの忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。
前者は、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部のもの忘れが殆どです。
何かきっかけがあれば思い出すことができます。本人の自覚もあり、進行性はなく、また日常生活に支障をきたしません。
後者は、脳の神経細胞の急激な破壊による起こり、もの忘れは物事全体がすっぽりと抜け落ち、何かのきっかけが有っても思い出すことができません。
本人に自覚はなく、進行性であり、日常生活に支障をきたします。
「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い
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加齢によるもの忘れ |
認知症によるもの忘れ |
原因 |
老化 |
病気 |
体験した事 |
一部を忘れる |
全てを忘れる |
もの忘れの自覚 |
あり |
なし |
日常生活 |
支障はない |
支障がある |
アルツハイマー病の治療
異常タンパク質の蓄積の原因が解明されてない為、根本的な治療法がありません。
ですが、脳内に不足される物質を補う事で病気の進行を遅らせる事は可能となっています。
その他に異常な行動に関しては抗うつ剤などが使用されます。
現在、異常タンパク質が溜まらないようにする治療が開発されつつあります。
アルツハイマー病と家族の向き合い方
アルツハイマー病は現代の医学では進行を遅らせる事しかできませんので、早期発見が非常に重要です。もし症状した場合はケアが重要ですが症状が重くなると家族一人で介護・看護し続ける事は非常に困難です。
患者の訴えを周りの人が相手にしないと、見捨てられたとさらに妄想が強くなることもあります。
その人らしさを大切にして、妄想などの訴えには必ずその人なりの原因があること、昔を思い出す話や作業は患者の安心感を得られることなどを覚えておきましょう。